別れというものは切ないもので

これを聞いたら○○(俺の名前)君が悲しむから言いたくないなぁ。




そんなことを仲の良い社員に言われて嫌な予感はしていた。
その日の昼にその店の部長さんが来られていたからだ。
聞かないわけにはいかないと思ったのか、その時はすぐに聞き返してしまった。


何があったんだよ。隠さないで言えよ。


――俺、転勤になったよ。



え?

彼の一言に俺は固まった。



嫌な予感はしていたものの現実となってしまった。
聞かないほうが良かったかな……とか思ったりもした。
だっていまからずっと悩むことになりそうだし。
その後詳しい話を聞いた。事業部自体変わるらしく和食から洋食に転向らしいです。
ちなみに異動日は11月1日。来週の土曜日にはもういないとか。また急な知らせに驚いた。




その日の夜中。
社員の人と遊びに行った帰り、どうしても話を聞いて欲しくて後輩の家に行った。


また仲の良かった友人とまたお別れをしなければならないのか。もうたくさんだ。
そんなことを後輩に話した。



――別れるとき、笑って見送れる?

その時、後輩にそんなことを聞かれた。





見送れるわけ無いだろ。きっと泣いてしまう。

俺のことだ、絶対泣く。今でも泣きそうだから。



――じゃあ会わないの?



出来れば会いたくない……のかも。

中途半端にしか言えないのはきっともう会えないってわかってるから。

でも、最後くらいは笑って見送りたいものだ。

今の状態では到底出来そうも無いけれど。



そのまま泣きつかれて後輩の家で気を失ったのは秘密です。




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そいつとは9月に出会ってから、すぐに意気投合して色々話すようになった。面白いことや面白くないこと(愚痴など)。

俺たちはただの友達ではないと、少なくとも俺は思っている。

密度の濃かった1ヶ月半。俺は俺として充実した日々を送れていた気がする。



あくまでも俺として。



他の人から見たらこいつ何やってるんだろう、って思われてたけど俺がそうしたかったからそうした。ただそれだけ。

笑うなら笑うがいいさ。



朝起こしに行くのは話がしたかったから。

俺がちゃんと起きるためだったから。

仕事を手伝うのは早く遊びたかったから。

飯を奢るのはいつものことだったから。

洗濯をしたのはいつも同じ服を着てるから。



バイト先のいろんな人に
「あんたたちいつもいっしょにいるんだなー」
「本当に仲いいんだねー」
っていわれた。



まぁ、1日の60%以上一緒にいればそう見えるわけですね。
そこまで一緒にいて何も言わないってことはむこうもそこまで俺のこと嫌いじゃなかったのかな、とも思う。


……あぁ、こんなことばかり書いてると俺頭おかしいみたいだなw






でもね、向こうがどう思っていようとも構わないけれど。大げさかもしれないけれど、俺のこと一人の友人として遊びに誘ってくれたのはあいつが初めてだった。



高校までは、門限あったし、僻地だったしね。

大学はいっても寮に人を呼べる部屋の広さじゃなかったし。



学校でも一人。家でも一人。バイト先でも一人。ネットにはたくさん友人がいるけれど。



まぁ、こんな俺ですから。

リアルを知っている人は良くわかるでしょう。

人とある程度距離を保つ人間なのです。

その距離を縮められたひとはあまりいないんですよ?




そんなひとにようやくめぐり合えたと思ったのにね。

悲しいです。

神様がいるなら殴りにいきたいくらいです。

どうしてこんな仕打ちをするのかと。




人を大切に思うことっていけないことですか?

人に尽くすことは馬鹿なことですか?





最後に――
どうせ見てないから言いたい放題いってやる。


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短い間だったけど楽しかったよ。
お前と話したこと忘れない。
お前と食いに行ったラーメンは一生忘れない。
朝起こしに行ったこと忘れるなよ。
これからはちゃんと起きて欲しいし、起こしに来いって言われてもいけないからな(ぁ
一回顔を見に行こうかと思ったけど、お前に言うとおりやめておくよ。
次の転勤先でもお前らしく笑顔で頑張れよ。すぐなじめるさ。
同じ21歳。まだまだ先は長いぞ。
やめるやめるって言ってたけど、これでやめられなくなったな。せいぜい頑張るがいいさ。
まぁ、俺も後を追う(……と思う)
これでしばらく(たぶん一生)会うことも無いと思うけど、元気でな。


P.S.
転勤のこと一番最初に言ってくれたのは嬉しかった。
悲しいことなのに変だなw
あとひとつ聞きたいことがあった。


――嫌な店長のいるこの店を離れられてあなたは幸せですか?


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うん。俺、どうしたらいいか結論出せてないや。
笑顔で見送れそうも無かったら、会わないほうがいいよね。
きっと。